演劇企画集団THE・ガジラ「ゴルゴン」

演劇企画集団THE・ガジラ「ゴルゴン」を観劇。新宿「雑遊」にて。
本当に久しぶりのガジラ。

相手を想えば想うほどに、哀しい憎悪が増幅する。
みんな、自分の描いた物語のとおりに生きられないと嘆く。
自分の夢を描けなくなった母は、それを娘に託し自分の夢を転嫁する。

夢を諦めない人は、シアワセナノカ?

みんなイイ人だよ、確かに。優しいよ、ホントに。でも、それが、愛おしく痛い、、、
夢を諦めない人達=挫折を知らない人達。ドキッ・・・

大磯までの帰路、泣きたいのに泣けない。心をえぐられたようで、えぐられてない。
でも確実に何かが胸に留まっている。

作品の魂柱、女優西山水木さんの存在にありがとう。

鐘下さん、、、。

帰りは大磯駅前波止場「磯人」に寄って、流せなかった涙を飲み込み、胸のつかえを流し込む。
相席した代々漁師だったYTKさんの言葉、

「人間がいなきゃあよお、神も仏もいねえんだよ。もうなあ、許すしかねえんだよ。」

泣いた・・・

やっぱり、明日はあるよね。

今週末24日(日)まで演ってます。
これは、観て欲しい、ト想う。

演劇企画集団THE・ガジラ「ゴルゴン」
http://gazira.info/

桜井秀峰

Posted in お世話になっている方, 日々つれづれ | Leave a comment

大磯町が一つになる日

今年もやってきました、夏と言えばお祭りです。

そうです。

大磯町「高来神社夏季例大祭」です。
※去年の様子はこちらからどうぞ。sakurai blog「初めて地元と想えて」

早朝、大磯町にある高来神社にて神事を行い御霊を神輿(権現さん)に納め、6時頃に「宮出し」。
その後は、大磯町内12町を担ぎ継ぎ20時過ぎに「宮入り」をしました。
一つの御神輿が町内を巡る長い長い1日です。

今年は梅雨明け間近という事もあり、雲や小雨もありましたが、
大きく崩れる事もなく、気持ちの良い祭り期間を過ごす事が出来ました。


去年同様、私は山王会に参加させて戴きました。
今年も老若男女が一つになって祭りを盛り上げようと、
本当に本当に頑張りました。

子ども達は、祭りの日まで太鼓や笛の練習を毎日して町内に響かせていました。
今年は新曲もあったりして、練習も大変そうでしたが最高のお囃子でした♪

お母さん達は、子ども達の練習を毎日サポートしていました。
暖かいサポートをして戴きました!ありがとうございます!!

男たちは、祭りの日まで仕事をしつつ、テンションを上げていました。
ま、男は当日やるしかない!

残念ながら参加出来なかった人もいましたし、
今年から参加してみた人もいたし、
久しぶりに参加する事にした人もいました。

本当にいろいろな事情があるなかで、この日を迎えられた事を本当に嬉しく想っております。

今年から参加した人が、「初めて地元と想えた」との感想がありました。
子どもをいろんな大人に知ってもらう事って大事なんだなとの感想もありました。

いろんな事を感じ、想い、仲間と声を出し合い、手を高く上げ、
1歩1歩踏みしめるように御神輿を渡御しました。
また一回り地元の繋がりが強くなった気がします。

今年は、御神輿を神社へ戻す「宮入り」まで参加しました。

これがまた、素晴らしい。
ほの暗いなか、御神輿の提灯がゆらゆらと揺れて幻想的な雰囲気。

そして、そして、、、
各町内12町から集まった町民がごちゃまぜになって担いでいるのです。
御神輿の担ぎ方は、各町内によって微妙に違います。
拍子のとりかた、足の運び、肩の位置、それぞれ受け継がれた担ぎ方です。

すでに1日中担いでいるので、身体はヘトヘト、声もガラガラです。
参道の途中では、右へ左へ揺れながら進んでいました。

しかし、最後の最後。体力の限界でバラバラだったのが、

一つになったのです。

その瞬間、神輿にぶら下げている大鈴が、
「シャーン!シャーン!シャーン!」
と鳴りました。

担ぎ手も周りのみんなも至福の瞬間でした。
12町内とか関係なくなるほどの達成感。

自分達町内だけではなく、全12町内が一丸となるのがこのお祭りなんだと、
改めて感じました。

いろんなお祭りがありますが、
このお祭りは自分にとってかけがえの無いお祭りに違いありません。

今年も勉強させていただきました。
関係者の皆さま。どうもありがとうございました。

桜井秀峰

Posted in Uncategorized | Leave a comment

スイス・バーゼルとイタリア・ローマ。その2。

バーゼルでの日々は、朝スタジオに行き、横山さんと朝食をとり、
横山さんの仕事を横目で盗み見ています。
もう何度も見ているのですが、毎回毎回発見があるというのは嬉しいです。
自分自身がそれを見て感じられるようになった事(成長?)もそうですが、
何より新しい試みにチャレンジし続ける先輩が傍にいるのは、本当に刺激的です。
最近は、チェンバロとフォルテピアノの演奏と調律を研究しているようです。
訪れるたびに演奏もかなりの腕前になっていますし、楽器の状態も素晴らしいです。

お互いに仕事をしながら新作の木管フルートについて色々と談義をしていると、
旧知のフルート奏者クリストフ・ボッシュ氏(Christoph Bösch)が訪ねてきました。

クリストフ・ボッシュ氏はバーゼル音楽院を卒業後、オーレルニコレ氏の元で研鑽を積み、
ソロ演奏に加え、現代音楽アンサンブル「アンサンブルフェニックスバーゼル」のマネージャー兼フルーティストとして、スイス国内にとどまらず、世界中で精力的に活動しています。

彼とは、親父幸一郎が初めてスイスを訪れた20数年前から、
公私ともに楽しいお付き合いをさせていただいています。
私たちの制作したアルトフルートも愛用しています。

アルトフルートの調整もしながら、今回の旅の目的でもある、
新作本黒檀製フルートの試奏をお願いしました。
それこそ、この20年の互いの進化を知っているので、忌憚のない感想を聞ける奏者です。

その前に、、、
彼の愛用するC管フルートは、初代ロット(Louis Lot#9**)の円筒木管製。
元々の姿は、ドリュ―システムだったメカニズムをどこかの修理屋がクローズに改造。
その修理があまりにもひどく、横山さんがGisのメカごと作り直したという大変な経歴を持つ楽器。

さらに、、、
ボッシュ氏の前は、別の奏者が愛用していました。
その彼は職業演奏家ではありませんでしたが、ニコレさんのお弟子さんでもあり、
フルートの腕前はプロ奏者そのものでした。
とっても優しい気さくな方で、私たちの仕事を高く評価してくれて、
木管キングウッド製とアルトフルートを愛用して戴いていました。

しかし、残念ながら若くしてこの世を去る事になってしまい、
愛用の楽器達は音楽仲間たちに譲られていきました。
その中には初代ロットもあり、何人かの奏者の手に渡りかけたのですが、
何故か巡り巡ってボッシュ氏の元へやって来たのです。

ボッシュ氏はそれまで木管をじっくり吹いた事はなかったそうですが、
初代ロットを吹いた瞬間、一撃でヤラレテしまったそうです。

木管だろが、金属だろうが、古かろうが、新しかろうが、関係ありません。
魂の宿った楽器にしか出せない音があります。それを痛烈に感じたのでしょう。

私の制作した楽器はその場所まで行けるのだろうか、、、

フルートのストラディバリとも称される初代ロット吹きの彼に、
新作の若い木管とは思えない響きを奏でてもらいました。
彼も新品の楽器とは思っていないかのように、自由に吹き続けています。

楽器の完成度に関しては充分に成熟していると自負していますが、
時折違和感のある音が出ているのを感じます。
なんだろう。。何かが違う。。

日本を出国する前に細かいチェックをして持ってきたのですが、
もしかすると調整、バランスに狂いが生じてきたのかもしれません。

ロットと吹き比べながら、それぞれの楽器にとっての「ポイント」を探っている様子。
ボッシュ氏は時間がないようで、細かい感想まで聞く事は出来ませんでしたが、
帰り際に「近いうちに自宅で夕食でもしましょう」とのお誘いを戴きました。

彼が帰ってから、横山さんも違和感を感じていたようで、
一緒に見てもらいながら最細部まで調整をする事になりました。

楽器を精査していくと、やはり狂いが生じていました。
日本との気候の違いがこんなにも影響するのかと、改めて感じます。

簡単に言うと、隙間が空いてしまったので音にならない時がある状態です。
順調に細かい隙間を埋めていき、徐々に決まってくる感触。

一通り目視出来るところの問題点は、すべてクリアしたと思ったのですが、
なかなか、最後の最後が決まりません。
木管の調整というのは、とても難しく、ちょっとでも空いていると鳴りません。
見た目では問題ないのですが、吹いてみると、違和感が残っています。
うーん、、、

ここで、横山さんからアドバイスをいただきました。
問題のある箇所を無くそう無くそうとするだけではなく、
問題のある箇所をあぶり出すように、ちょっと遠回りしてみたらと。

具体的には、細かいところを埋めるのを止めて、
それらすべてを覆い隠し埋めてしまうような大きなものを問題箇所に当ててみる。

するとどうでしょう。
問題は今まで見ていたところではなく、もっと別の所にあるのが判明しました。

これです。これ。
こういうところで経験値としての差が出ます。

早速、浮き出てきた問題を解決して息を吹き込んでみると、
今までよりももっと深く厚い響き。
完成時よりも良くなったような感じがします。

調整や修理という仕事は、制作と同じように難しくて、
奏者に近いところで対応しなくてはいけないので、より複雑です。

「制作一筋」というのは聞こえは良いのですが、その先には奏者が、
その向こうには音楽がある事を忘れがちになってしまう時があります。


誰の何の為に制作するのか。
奏者の為でもあるし、制作者としての欲望の為でもあり、家族が生きる為の生業でもあり、、、
問い続けなければいけない命題です。

そんな事まで考えてしまいました。。。

また一つ得難い経験をさせて戴きました。感謝です。

気付けば、晩御飯の時間をとっくに過ぎてしまいました。。
お腹が空いたので、横山さんと近所のタイレストランへ。
この日のビールは格別でした。

桜井秀峰

Posted in お世話になっている方, 修理, 海外遠征2012 | Leave a comment

スイス・バーゼルとイタリア・ローマ。その1。

4月23日から5月3日までヨーロッパに赴いておりました。

ヨーロッパ遠征の目的地は、
・バーゼル(スイス)
・ローマ(イタリア)&ヴァチカン市国

バーゼル市には、何度も訪れており馴染みのある街です。
前回は2年前には妻と1歳になったばかりの息子と訪れております。
サクライフルートのEU連絡先でもある「フルートスタジオバーゼル」があり、
バーゼル音楽院があり、フルートにとって重要な街でもあります。

ここで、フルートスタジオバーゼルを主宰されているのは横山恵三さんをご紹介させてください。
横山さんはスイス在住30年以上になるのですが、日本ではムラマツフルートに勤めていました。
主に調整、修理を担当していたそうで、その後にスイスのルッツェルンにある楽器店にフルート専門のリペアマンとして渡瑞。
数年後に独立してバーゼル市にフルート専門のリペアショップ「FLOTEN STUDIO BASEL」を立ち上げました。

桜井家とは、それこそ私が生まれる前から親父幸一郎と親交があり、
私にとっても大先輩であり、ときに兄のような、そして父のような、たまに友のような、、、
同じフルートという楽器を扱う職人として「話」が出来る唯一の存在です。

横山さんを通じて多くのフルーティストと知り合う事が出来ましたし、
それによって私たちのフルートも洗練された事は間違いありません。
何より横山さんの持っている圧倒的な経験と知識に触れる事が何よりも刺激的です。
当然、横山さんの元にはさまざまなメーカーのフルートが持ち込まれます。
あ、フルートだけではありません。
何故か、他の管楽器はもちろんの事、パイプオルガンに、チェンバロに、弦楽器もたまに直すのだとか。
私も他の管楽器はごく稀に直したりしますが、鍵盤はピアノの調律を遊びでやる程度。
持ち込む奏者が横山さんの技術を信頼しているのは当然ですが、
彼の音楽全般における知識が豊富ゆえに、楽器の種類関係無しに持ち込まれるのでしょう。

今回の訪問目的は、新作の本黒檀製フルートを見てもらう事と、
調整、修理の技術交流という名の「技術を盗んでやろう」という目論見です。
今回に限らず、毎度訪れる最大の目的と言っても良いかもしれません。
基本的には同じ系統の調整方法なのですが、ちょっとしたコツというか、
料理で言うところの「一塩」のような、最後の最後に「何か」入れてる感じでしょうか。
フルート調整というのも、フルート制作と同じで、
「どこで良しとするか」
を見極めるのがとても難しいです。
絵描きの言う「筆を置く時」みたいなものです。
フルートの場合は、調整時の扱いと演奏時の扱いは明らかに違いますし、環境や状況も違います。
それを考慮して調整をする事がとても大事です。
それは奏者1人1人違います。それもまた調整を難しくさせ、より複雑にしているところです。

旅の方は、23日夜にバーゼル空港に到着。
空港には横山さんと私たち夫婦が「バーゼルの姉」と慕う「ゆき姉」が出迎えてくれました。
2年振りに帰ってきた故郷のような不思議が感覚が巡ってきましたが、
たぶん機内でワインを呑み過ぎたからかもしれません。。。
妻と息子を残してきたからかもしれません。。。
とにかく、短い滞在ですが充実した日々を送ろうと想った初日の夜でした。

桜井秀峰

Posted in お世話になっている方, 修理, 海外遠征2012 | Leave a comment

春なのに冬の話。

すっかり春になり、初夏のような陽気も感じられるようになってきました。

この冬をおさらいしておきますと、
オールドフルートのオーバーホールに、新作フルートの制作が続きました。
そして新作フルートの下ごしらえとして、冬に行う最も重要な作業もしました。
それは「木工」です。

私たちは木製フルートも制作しておりますが、製材から管体製作まで自分で行っています。

昔から木の伐採は冬に行うものだとされてきました。
初霜が降りた頃、樹木たちは地中からの水分吸い上げをやめて、冬に備えるそうです。
木の中が水分で満たされてしまったら、真冬に凍ってしまうからだとか。

木も生きているんですね。

また、伐採した木材をより永く持たせる為に「新月切り」と言って、
冬の満月から新月(闇夜)にかけての数日間のみ伐採したのだそうです。
法隆寺に使われている木材たちも「新月切り」された材だという話。

実際に私たちも木製フルートを制作していると、
冬の時期に木工作業をした方が、その後に大きな差が出ると実感しています。

フルートに使われるのは熱帯の木材ですが、違いはありません。

より永く奏で続けられるよう、これからも「冬の木工」を続けていきます。

桜井秀峰

追伸
先日、スイスのバーゼルとイタリアのローマに赴いてきました。
その旅については、後日記します。。。

Posted in 日々つれづれ, 素材について | Leave a comment