Monthly Archives: May 2012

スイス・バーゼルとイタリア・ローマ。その1。

4月23日から5月3日までヨーロッパに赴いておりました。 ヨーロッパ遠征の目的地は、 ・バーゼル(スイス) ・ローマ(イタリア)&ヴァチカン市国 バーゼル市には、何度も訪れており馴染みのある街です。 前回は2年前には妻と1歳になったばかりの息子と訪れております。 サクライフルートのEU連絡先でもある「フルートスタジオバーゼル」があり、 バーゼル音楽院があり、フルートにとって重要な街でもあります。 ここで、フルートスタジオバーゼルを主宰されているのは横山恵三さんをご紹介させてください。 横山さんはスイス在住30年以上になるのですが、日本ではムラマツフルートに勤めていました。 主に調整、修理を担当していたそうで、その後にスイスのルッツェルンにある楽器店にフルート専門のリペアマンとして渡瑞。 数年後に独立してバーゼル市にフルート専門のリペアショップ「FLOTEN STUDIO BASEL」を立ち上げました。 桜井家とは、それこそ私が生まれる前から親父幸一郎と親交があり、 私にとっても大先輩であり、ときに兄のような、そして父のような、たまに友のような、、、 同じフルートという楽器を扱う職人として「話」が出来る唯一の存在です。 横山さんを通じて多くのフルーティストと知り合う事が出来ましたし、 それによって私たちのフルートも洗練された事は間違いありません。 何より横山さんの持っている圧倒的な経験と知識に触れる事が何よりも刺激的です。 当然、横山さんの元にはさまざまなメーカーのフルートが持ち込まれます。 あ、フルートだけではありません。 何故か、他の管楽器はもちろんの事、パイプオルガンに、チェンバロに、弦楽器もたまに直すのだとか。 私も他の管楽器はごく稀に直したりしますが、鍵盤はピアノの調律を遊びでやる程度。 持ち込む奏者が横山さんの技術を信頼しているのは当然ですが、 彼の音楽全般における知識が豊富ゆえに、楽器の種類関係無しに持ち込まれるのでしょう。 今回の訪問目的は、新作の本黒檀製フルートを見てもらう事と、 調整、修理の技術交流という名の「技術を盗んでやろう」という目論見です。 今回に限らず、毎度訪れる最大の目的と言っても良いかもしれません。 基本的には同じ系統の調整方法なのですが、ちょっとしたコツというか、 料理で言うところの「一塩」のような、最後の最後に「何か」入れてる感じでしょうか。 フルート調整というのも、フルート制作と同じで、 「どこで良しとするか」 を見極めるのがとても難しいです。 絵描きの言う「筆を置く時」みたいなものです。 フルートの場合は、調整時の扱いと演奏時の扱いは明らかに違いますし、環境や状況も違います。 それを考慮して調整をする事がとても大事です。 それは奏者1人1人違います。それもまた調整を難しくさせ、より複雑にしているところです。 旅の方は、23日夜にバーゼル空港に到着。 空港には横山さんと私たち夫婦が「バーゼルの姉」と慕う「ゆき姉」が出迎えてくれました。 2年振りに帰ってきた故郷のような不思議が感覚が巡ってきましたが、 たぶん機内でワインを呑み過ぎたからかもしれません。。。 … Continue reading

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春なのに冬の話。

すっかり春になり、初夏のような陽気も感じられるようになってきました。 この冬をおさらいしておきますと、 オールドフルートのオーバーホールに、新作フルートの制作が続きました。 そして新作フルートの下ごしらえとして、冬に行う最も重要な作業もしました。 それは「木工」です。 私たちは木製フルートも制作しておりますが、製材から管体製作まで自分で行っています。 昔から木の伐採は冬に行うものだとされてきました。 初霜が降りた頃、樹木たちは地中からの水分吸い上げをやめて、冬に備えるそうです。 木の中が水分で満たされてしまったら、真冬に凍ってしまうからだとか。 木も生きているんですね。 また、伐採した木材をより永く持たせる為に「新月切り」と言って、 冬の満月から新月(闇夜)にかけての数日間のみ伐採したのだそうです。 法隆寺に使われている木材たちも「新月切り」された材だという話。 実際に私たちも木製フルートを制作していると、 冬の時期に木工作業をした方が、その後に大きな差が出ると実感しています。 フルートに使われるのは熱帯の木材ですが、違いはありません。 より永く奏で続けられるよう、これからも「冬の木工」を続けていきます。 桜井秀峰 追伸 先日、スイスのバーゼルとイタリアのローマに赴いてきました。 その旅については、後日記します。。。

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