Category Archives: 素材について

春なのに冬の話。

すっかり春になり、初夏のような陽気も感じられるようになってきました。 この冬をおさらいしておきますと、 オールドフルートのオーバーホールに、新作フルートの制作が続きました。 そして新作フルートの下ごしらえとして、冬に行う最も重要な作業もしました。 それは「木工」です。 私たちは木製フルートも制作しておりますが、製材から管体製作まで自分で行っています。 昔から木の伐採は冬に行うものだとされてきました。 初霜が降りた頃、樹木たちは地中からの水分吸い上げをやめて、冬に備えるそうです。 木の中が水分で満たされてしまったら、真冬に凍ってしまうからだとか。 木も生きているんですね。 また、伐採した木材をより永く持たせる為に「新月切り」と言って、 冬の満月から新月(闇夜)にかけての数日間のみ伐採したのだそうです。 法隆寺に使われている木材たちも「新月切り」された材だという話。 実際に私たちも木製フルートを制作していると、 冬の時期に木工作業をした方が、その後に大きな差が出ると実感しています。 フルートに使われるのは熱帯の木材ですが、違いはありません。 より永く奏で続けられるよう、これからも「冬の木工」を続けていきます。 桜井秀峰 追伸 先日、スイスのバーゼルとイタリアのローマに赴いてきました。 その旅については、後日記します。。。

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コルクと9。

コルクというと、「ワインの栓」と思い浮かべる人がほとんどでしょう。 実際、産出されるコルクの8割以上がワインの栓だそうです。 そのコルクの産地はポルトガルが約50%。次いで、スペインが約30%。 前回に引き続き、ここでもスペインが活躍しています。 そんなコルクはフルートを始め、木管楽器の各所にも使われており、 非常に重要な素材のひとつです。 実はこのコルク、ブナ科のコルク樫という木の樹皮を剥いだものなんです。 えー!皮を剥いじゃうの?って思った方、ご安心ください。 剥いでもまた皮が付いてきます。 それを何度も何度も繰り返す事が出来るのですが、 その周期が9年と定められています。 ある程度の厚みになるまでに時間がかかるのでしょうが、 8年でもなく、10年でもなく、9年。 詳しくはこちらのサイトをご覧ください。コルクについて、とっても詳しく載っています。 東亜コルク株式会社 でも、なぜ9年なのでしょう。 そういえば、9という数字。いろいろなところで活躍しています。 例えば、 ・ビリヤードの「ナイン(9)ボール」 ・野球チームの選手数 ・日本国憲法 第九条「戦争の放棄」 ・ベートーヴェン作曲「交響曲第9番」 ・ドヴォルザーク作曲「交響曲第9番新世界より」 ・ブルックナー作曲「交響曲第9番」未完成と言われていますが、、 ・中国の占い「九星」 ・インドの占星術「九曜」 ・芸能人の登竜門「月9」 他にもいっぱいありそうです。 そういえば、昔学校の校庭に机を「9」に並べた事件がありましたね。 9という数字には、何か惹かれるものがあるのでしょうか。 話しはコルクの話題に戻って、、、 先日、コルクの在庫を補充しようと思い、 40年以上お世話になっているコルク屋さん(東亜コルクではありません)に連絡をいたしました。 いつもと変わらない元気な声! 日本中の楽器メーカーがこの方のお世話になっているといっても過言ではないのですが、 私たちのような小さな工房にも良いモノを分けていただいています。 何でも、今年はコルクの入荷状況が悪かったようですが、 そこはコルク界の重鎮だけあって、少ないながらも良質なコルクを入荷しているそうです。 天候不順とかではなく、現地で働いている方たちの問題らしく、 じきに解決するから大丈夫だよ、との事でした。 … Continue reading

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