コルクと9。

コルクというと、「ワインの栓」と思い浮かべる人がほとんどでしょう。
実際、産出されるコルクの8割以上がワインの栓だそうです。
そのコルクの産地はポルトガルが約50%。次いで、スペインが約30%。
前回に引き続き、ここでもスペインが活躍しています。

そんなコルクはフルートを始め、木管楽器の各所にも使われており、
非常に重要な素材のひとつです。

実はこのコルク、ブナ科のコルク樫という木の樹皮を剥いだものなんです。
えー!皮を剥いじゃうの?って思った方、ご安心ください。
剥いでもまた皮が付いてきます。
それを何度も何度も繰り返す事が出来るのですが、
その周期が9年と定められています。
ある程度の厚みになるまでに時間がかかるのでしょうが、
8年でもなく、10年でもなく、9年。
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。コルクについて、とっても詳しく載っています。
東亜コルク株式会社
でも、なぜ9年なのでしょう。

そういえば、9という数字。いろいろなところで活躍しています。
例えば、
・ビリヤードの「ナイン(9)ボール」
・野球チームの選手数
・日本国憲法 第九条「戦争の放棄」
・ベートーヴェン作曲「交響曲第9番」
・ドヴォルザーク作曲「交響曲第9番新世界より」
・ブルックナー作曲「交響曲第9番」未完成と言われていますが、、
・中国の占い「九星」
・インドの占星術「九曜」
・芸能人の登竜門「月9」

他にもいっぱいありそうです。
そういえば、昔学校の校庭に机を「9」に並べた事件がありましたね。
9という数字には、何か惹かれるものがあるのでしょうか。

話しはコルクの話題に戻って、、、
先日、コルクの在庫を補充しようと思い、
40年以上お世話になっているコルク屋さん(東亜コルクではありません)に連絡をいたしました。
いつもと変わらない元気な声!
日本中の楽器メーカーがこの方のお世話になっているといっても過言ではないのですが、
私たちのような小さな工房にも良いモノを分けていただいています。

何でも、今年はコルクの入荷状況が悪かったようですが、
そこはコルク界の重鎮だけあって、少ないながらも良質なコルクを入荷しているそうです。
天候不順とかではなく、現地で働いている方たちの問題らしく、
じきに解決するから大丈夫だよ、との事でした。
上記リンク先にあるように、剥がすのも大変な重労働なようです。

送られてきたコルクは、いつも通り上質でまったく問題ありません。

頭部管のヘッドコルク。とっても綺麗です。
☆フルート奏者の皆さん。ヘッドコルクは緩んでいませんか??
意外とこのコルクの締め具合は音色にも影響が大きいです。
ヘッドキャップ(クラウン)がくるくる回ってしまうようですと、コルクの弾力が弱っている証拠です。

いつものようにコルクの切れ端をおまけしていただきました。
製品にはならないサイズですが、様々な楽器を手掛ける私たちにとっては必要な素材です。
もう本当に小さい欠片のようなものでも、それを集めて圧縮すれば再利用可能です。
捨てるところのないコルクは、かなりの「エコ素材」だと思います。

長年お世話になっているコルク屋さん。
直接お邪魔する時は、お仕事の邪魔をしながらいろんなお話を伺っていました。
ここにも命がけで自分の仕事”コルク”と向き合っている先輩がいらっしゃいます。
改めて”コルク”の良さ、奥深さを感じました。

桜井秀峰

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