大磯吉祥寺銀座、そしてフルート

秋深まる中、久しぶりに吉祥寺シアターに行ってきました。
大磯から遠路はるばる小旅行。

私が末席ながら所属している劇団「青年団」のソウル市民五部作!!!!!の仕込み初日。
3年前だったら、舞台セットを仕込んでいただろう私ですが、
今回は劇中で生演奏される足踏み式オルガン(リードオルガン)の調整。
調整といっても本格的な修理などではなく、定期的なメンテナンス程度でしたので、
まったく問題ありませんでした。

今回の代表演目「ソウル市民」は、平田オリザ初期の作品です。
オリザ作品の中でも、もっとも人気のある演目のひとつです。
私もとても好きな作品なので、何度も観ています。
何度観ても面白い、「強度」を持った作品です。

「ソウル市民」が描いた1909年。
その10年後が「ソウル市民1919」
それから10年後の「ソウル市民昭和望郷編」
でもって10年後の「ソウル市民1939恋愛二重奏」(新作)
さらに地球の裏側の1939年「サンパウロ市民」(新作)
劇団史上、五部作連続上演なんてありません。
日本の演劇史で語り継がれる”伝説”になるでしょう。

どこから観ようか悩みますね~。
年代を辿るか、遡るか。
はたまた真ん中から観るか。
どこから観ても楽しめるのは間違いないです。

本公演の特設ウェブサイトに公演の詳細がありますので是非ご覧ください。
ソウル市民五部作特設サイト

久しぶりに会う団員のみんなは相変わらず。
こんな私を笑顔で迎えてくれます。
そこが、また嬉しいです。
山内さん、呑みに行きましょうね!!

オルガン調整も無事に終わったので、
舞台美術の杉山至さん達と昼食に。
至さんは私にとって非常に重要な人。
私が一時離れた演劇の世界に引き戻してくれたり、
建築家の丸山欣也さんと引き合わせてくれたり、
笛のワークショップのきっかけを与えてくれたりと、
今の自分があるのはこの人がいたからと言っても過言ではないでしょう。
とにかく仕事に厳しい。
それは時に、強い言葉になったりはしますが、
自分の仕事に対して全身全霊で臨んでいるからこそ。
つい数年前までは、何度怒鳴られた事か・・・。(遠い目)
でもですね。その熱意っていうか、覚悟ていうか、
命賭けてる!って姿勢がヒシヒシ伝わってきて、
自分の甘さを痛感してばかりでした。

舞台美術の世界観も圧倒的。
丸山欣也門下生でもある至さんは、丸山エキスを注入されただけあって、
これでもか!!ってくらいの傍若無人っぷりです。良い意味ですよ。
正直、舞台美術で感動したのは島次郎さんと至さんだけかなあ。

相変わらずの極忙ぶりなようで体調が心配ですが、
ピリピリした仕込みっぷりを見られて嬉しかったです。

熱い吉祥寺を後にして昔からお付き合いさせていただいている、
都内の楽器店にご挨拶に寄らせていただきました。
新大久保のDACさんに伺ってから、銀座の山野楽器さん
今の傾向や楽器店からの要望など、とても為になるお話を伺いました。
あらゆるメーカーのフルートを目にすると「俺もやるぞ~!」ってなりますね。
大手であろうが、個人工房であろうが、フルートを作る職人はフルートが好き。
演奏が好きな職人もいれば、フルートという楽器が好きな職人もいます。
私はどっちかなあ。演奏は拙いですが好きだし、楽器自体も大好きだなあ。
親父と叔父は演奏はしませんが、仕事がとにかく好きですね。あ、おしゃべりも。

日本のフルートは世界一です。
生産量もそうですし、主要なオーケストラの90%は日本製ではないでしょうか。

これからもそうあり続ける事が出来るよう、
私は私の仕事に誇りをもって、全力で臨むだけです。

うす暗くなった銀座の街を歩きながら、
結局はフルートの事ばかり考えていました。

桜井秀峰

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