Monthly Archives: July 2011

一音一心

日差しは無いけど、やっぱり暑い埼玉の工房・・・。 今年は省エネエアコンを新調したので、安心して奏者の皆さまをお迎え出来ています。 先日いらしていただいた奏者のお話。 愛用のAU-10製フルートの調整をしている間、しばしご歓談。 この1年に起きた出来事や感じた事など、たくさんお話しました。 ここ最近は体調を崩されていたようで、 フルートを吹いていられる今をより大切にかみしめているように感じました。 「木管、吹いてみます?」 「はい。ぜひ。」 前回いらした時にも木管を吹いて頂いてまして、 「また吹いてみたい」と想いを馳せていたようです。 それこそ、 ひとつひとつ、少しずつ音を確かめるように吹いていました。 木管を愛用していただいている奏者の中には、 木管によって人生を大きく変えた方々がいます。 私たちも木管を制作し始めて大きく変わりました。 音楽の中でのフルート。 貴重な木材で制作するという心構え。 生きていた木を殺さずに「活かす」為に必要な知識と経験。 今も日々探求と試行錯誤の連続です。 調整も無事に終わり改めて自分の楽器を吹くと、 流れるように自然と音が出ていました。 苦楽を共にした相棒は奏者の心もわかっているのでしょう。 木管を通して何かのきっかけを感じていただけようです。 愛用のAU-10とさらに表現の幅を広げられることと想います。 桜井秀峰

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新しいアルバム作り

ランザン・クインテットの皆さんが来られる数時間前、 私は小学、中学の同級生のご実家にお邪魔していました。 同級生のお父様は10年前にお亡くなりになり、 お父様に愛用していただいていたサクライフルートも形見として眠ったままでした。 先日、奥様よりお電話をいただき、 「この楽器を大切に吹いてくれる人の元へ旅立たせたい。形見として眠らせるのは楽器が可哀想だから。」 とのお知らせを聞きお宅へお邪魔した次第です。 それこそ、お父様には小学校から可愛がっていただいてました。 フルート制作を始めた時も激励された事を今でも憶えています。 10年ぶりに再会した愛用のフルート。 フルートは10年眠っていたとは思えないほど状態も良かったので驚いたら、 「主人がとっても大事にしていたので、同じように大事に仕舞っていた」とのこと。 そしてお母様からフルートとは別に渡されたものがありました。 それは、アルバムでした。 このフルートが完成するまでを細かく写真に撮っていたのです。 私も素直に「うわー。すごい!」と声をあげてしまうほど、綺麗な写真たち。 そして、自分のフルートへの愛情。          お母様も形見として手元に置いておきたかったのですがご自身もハープを演奏されるので、 楽器は演奏されるためにあるんだと想い旅立たせる決心をしたそうです。 フルートと一緒にアルバムもお預かりする事にいたしました。 新しい次の奏者にも想いを引き継いでいただきたい。 そして、新しい物語を紡いでいってほしいと想っています。 桜井秀峰

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ランザン・クインテット

先日、桜井家にとって大切な4人の奏者が来訪されました。 家族のようにとっても暖かく、そして熱い方たちです。 後方右より ツクイ・キヨシさん エリカ・ヴィルフリンガーさん 遠藤尚子さん 岡崎明義さん ツクイさん、エリカさんご夫妻はウィーン在住のフルート奏者。 桜井家とは30年来のお付き合いになります。 幸一郎とツクイさんは20歳近く違いますが、 友人でもあり、良き理解者でもあり、時に親子のようであります。 私も幼い時からツクイさんの事は親父から聞いていました。 「あんなに情熱的な奴はいない」 ウィーンから届いたフルートへの想いを綴った手紙(ほんの一部) 幸一郎もそれはそれは熱いですが、ツクイさんも負けていません。 たくさんの”伝説”を残しているツクイさんですが、ウィーン留学のきっかけから伝説的です。 留学先も決まっていないのに、単身ウィーンへ乗り込んだのが1974年。 しかも、シベリア鉄道10日間の旅。でも片道切符。 ウィーンへ乗り込んでから情熱と奇跡的な出会いによって、 ウィーン国立音楽大学への入学を果たしました。 師事したのは当時ウィーンフィル首席奏者でもある巨匠ハンス・レズニチェック教授。 以来40年近くオーストリアにいらっしゃいます。 その40年の間にも幾多の”伝説”がありますが、 残念ながらここでは紹介しきれません。本当にたくさんあるから。 でも、皆さんにもツクイさんの軌跡を知っていただきたいので、 近い将来ツクイさんの自叙伝が出版される日を熱望しています。 熱いツクイさんの側でいつもは冷静に、時にツクイさん以上に情熱的になるエリカさん。 生まれも育ちもオーストリアですが、どこか日本人のような振る舞いや雰囲気。 エリカさんの吹く日本の曲を聴くと、日本人が吹くよりも日本的に感じます。 ランパルさんの春の海を思い出します。 そして、ツクイさんとは40年来の岡崎明義さん。 ツクイさんが来日すれば、一緒に演奏をし、酒を酌み交わし、さらに旧友を深める。 昔も今も良き仲間であり、悪友でもあるのでしょうか。 こんな友がいるお二人をいつも羨ましく見ています。。。 熱い先輩3人の中で、いつも満面の笑みを絶やさない遠藤尚子さん。 岡崎さんのお弟子さんであり、ウィーン国立音楽大学で研鑽を積まれました。 そう、ツクイさんの後輩でもあります。尚子さんもやっぱり熱いです。 こんな素敵な皆さんが2003年に奇跡のクインテットを結成してくださいました。 その名も、「ランザン・クインテット」。←先日、命名。 以前からツクイさんに「桜井さんに恩返しがしたい。嵐山町で演奏会を出来ないか」と言っていただき、 … Continue reading

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初めて地元と想えて

台風6号が襲来する前の17日、 雲ひとつない晴天の中で大磯町「高来神社夏季例大祭」が無事行われました。 朝5時から始まって夜7時まで、全力で担ぎ、掛け声を出し続けました。 今日この日の為に、6月から1日も休みを取って無い人、 土日が忙しい仕事なのに無理やり休んだ人、 次の日から東北へ支援に行く人、 来年にはアフリカに行ってしまう人、 台風来ているのにゴルフ場に行く予定の人、 いつもと変わらない次の日が来ちゃう人、などなど。 境遇ははそれぞれですが、この1日の為に集まった大切な仲間たちです。 上は80歳過ぎた重鎮に、下は2歳の我が息子。 年齢も性別も仕事も役職も一切関係なくなる、特別な日です。 普段は温厚なお父さんが鬼の形相で「ウリャー!!」 若造が大先輩の重鎮に向かって「チカラ入れろ!コラー!」 元々気性の荒い姉さん達が更に「※♯&%$!!!!!」(自主規制) 普段はアフタヌーンティーを嗜んでいる私たち家族(嘘)も、 この日ばかりは何を呑んで何を出したか、、、わかりません。 あ、いえ。「すべてを出し切った」という事だけ、わかります。 すべてを出し切ってしまえば、後はからっぽ。 新しい気持ちで何でも新鮮に受け入れる事が出来る気がします。 今ここに自分がいて、家族がいる事に心から感謝しています。 仲間がいて、先輩がいて、安心してここにいられる気持ちです。 隣のおじいちゃんによると、昔は家族総出で祭りに参加していたそうで、 「家にいる奴なんていねえよ。祭の為にすべてがあったんだよ。」 それくらい大切なお祭りだったようです。 自分がこの土地の人間だと周りに認識させる為の祭りだろうし、 自分自身も仲間だと感じられる高揚感が欲しい為の祭り。 皆が同じ方向を見ていた時代であれば当然必要な事として、 祭りは存在していたのでしょう。 今では人それぞれに事情があり、参加者も減ってしまい、 昔ほどの活気は無くなったのかもしれません。 そして、祭りが担っていた役割も意味も大きく変わってきているかもしれません。 おっと。 何だか、難しいお話になりそうだ。すいません。祭りボケです。 桜井ファミリー。 とにかく、こんな私たち家族を受け入れてくれる地元の皆さんに本当に感謝です。 今年は甚句も謳わせていただいちゃったし。せ~~♪ 他の町内なら考えられない事だそうです。 今年から若手(といっても40歳代)が「山王会」の中心となり、 昔からの伝統を重んじながら、新しい活気を生み出すような体制になりました。 … Continue reading

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制作する親子と演奏する親子

先日いらしていただいたご家族のお話。 ご主人がフルート吹きで、幸一郎作のAU-10製と本黒檀製を愛用していただいています。 かれこれ、20年来のお付き合い。 今回は、息子さん用の管体銀製ストレートカバードを制作させていただきました。 親子2代のサクライフルート吹きとなりました。 近い将来、親子でデュエットをする日を楽しみにしているようです。 私たちもその日を心待ちにしております。 桜井秀峰

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