Category Archives: お世話になっている方

あなたと私

先週末、私たちのウェブサイトを制作してくれたAtsushiとOginの結婚式がありました。 場所は大磯の海からも見える葉山。良い町です。 大好きな町で大好きな友達が永遠の愛を誓う。 なんてステキな事なのでしょうか。 ウェブサイト制作を引き受けていただいた彼らのために何か出来ないかと考えた私たちは、 2人にとって、もっとも大切で最重要な「結婚指輪」を制作させていただく事になりました。 なんとステキな事なのでしょうか。 材質は永遠の輝きを誇るプラチナ製という希望以外は、 「デザイン等はお任せします」 という、ある意味超絶プレッシャーの要望。 「任せてください。」 と言ったその日から、私たちは彼らの為の「マリッジリングデザイナー」になりました。 どんなデザインにしようか、石を入れようかなどなど、 考えれば考えるほど想い悩みます。。。 凝れば凝るほど、何か遠くなってくる想い、、、 「シンプル」という言葉がアタマを巡ってはいたものの、 「シンプル」に込められた果てしない意味の波にのまれました。 そんな時、自分達が制作したフルートたちを見つめてみました。 1本1本に想いが込められた楽器たち。 そして、奏者から想われている楽器たち。 私たちが持っている技術と想いが形になっていました。 フルート職人が考え、想い、デザインしたリング。 それは、私たちが自信を持って想いを込められるデザイン。 私たちにとっての「シンプル」です。 これが私たちが彼らを想いデザインしたマリッジリングです。 「唐草模様」の手彫りです。 金属製フルートの胴輪にも施している私たちにとっては馴染み深い彫りです。 普段と違うデザインではなく、いつも彫っているデザインです。 彫りは深く、見る角度によって明瞭な陰影を映し出しています。 石を入れなくてもキラキラしているので、とっても綺麗です。 今回は、荒仕上げまでは私たちが手がけて、 最終の仕上げを彫金の師匠にお願いしました。 江戸下町の職人中の職人でもある師匠は、御年73歳。 師匠の作品を一つでも多く残したい想いもあり、お願いしました。 絶品です。 そして、リングの内側に入れた文字。 Atsushiのリングには「O&A」 Oginのリングには「A&O」 私とあなたではなく、 「あなたと私」 … Continue reading

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大磯吉祥寺銀座、そしてフルート

秋深まる中、久しぶりに吉祥寺シアターに行ってきました。 大磯から遠路はるばる小旅行。 私が末席ながら所属している劇団「青年団」のソウル市民五部作!!!!!の仕込み初日。 3年前だったら、舞台セットを仕込んでいただろう私ですが、 今回は劇中で生演奏される足踏み式オルガン(リードオルガン)の調整。 調整といっても本格的な修理などではなく、定期的なメンテナンス程度でしたので、 まったく問題ありませんでした。 今回の代表演目「ソウル市民」は、平田オリザ初期の作品です。 オリザ作品の中でも、もっとも人気のある演目のひとつです。 私もとても好きな作品なので、何度も観ています。 何度観ても面白い、「強度」を持った作品です。 「ソウル市民」が描いた1909年。 その10年後が「ソウル市民1919」 それから10年後の「ソウル市民昭和望郷編」 でもって10年後の「ソウル市民1939恋愛二重奏」(新作) さらに地球の裏側の1939年「サンパウロ市民」(新作) 劇団史上、五部作連続上演なんてありません。 日本の演劇史で語り継がれる”伝説”になるでしょう。 どこから観ようか悩みますね~。 年代を辿るか、遡るか。 はたまた真ん中から観るか。 どこから観ても楽しめるのは間違いないです。 本公演の特設ウェブサイトに公演の詳細がありますので是非ご覧ください。 ソウル市民五部作特設サイト 久しぶりに会う団員のみんなは相変わらず。 こんな私を笑顔で迎えてくれます。 そこが、また嬉しいです。 山内さん、呑みに行きましょうね!! オルガン調整も無事に終わったので、 舞台美術の杉山至さん達と昼食に。 至さんは私にとって非常に重要な人。 私が一時離れた演劇の世界に引き戻してくれたり、 建築家の丸山欣也さんと引き合わせてくれたり、 笛のワークショップのきっかけを与えてくれたりと、 今の自分があるのはこの人がいたからと言っても過言ではないでしょう。 とにかく仕事に厳しい。 それは時に、強い言葉になったりはしますが、 自分の仕事に対して全身全霊で臨んでいるからこそ。 つい数年前までは、何度怒鳴られた事か・・・。(遠い目) でもですね。その熱意っていうか、覚悟ていうか、 … Continue reading

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コルクと9。

コルクというと、「ワインの栓」と思い浮かべる人がほとんどでしょう。 実際、産出されるコルクの8割以上がワインの栓だそうです。 そのコルクの産地はポルトガルが約50%。次いで、スペインが約30%。 前回に引き続き、ここでもスペインが活躍しています。 そんなコルクはフルートを始め、木管楽器の各所にも使われており、 非常に重要な素材のひとつです。 実はこのコルク、ブナ科のコルク樫という木の樹皮を剥いだものなんです。 えー!皮を剥いじゃうの?って思った方、ご安心ください。 剥いでもまた皮が付いてきます。 それを何度も何度も繰り返す事が出来るのですが、 その周期が9年と定められています。 ある程度の厚みになるまでに時間がかかるのでしょうが、 8年でもなく、10年でもなく、9年。 詳しくはこちらのサイトをご覧ください。コルクについて、とっても詳しく載っています。 東亜コルク株式会社 でも、なぜ9年なのでしょう。 そういえば、9という数字。いろいろなところで活躍しています。 例えば、 ・ビリヤードの「ナイン(9)ボール」 ・野球チームの選手数 ・日本国憲法 第九条「戦争の放棄」 ・ベートーヴェン作曲「交響曲第9番」 ・ドヴォルザーク作曲「交響曲第9番新世界より」 ・ブルックナー作曲「交響曲第9番」未完成と言われていますが、、 ・中国の占い「九星」 ・インドの占星術「九曜」 ・芸能人の登竜門「月9」 他にもいっぱいありそうです。 そういえば、昔学校の校庭に机を「9」に並べた事件がありましたね。 9という数字には、何か惹かれるものがあるのでしょうか。 話しはコルクの話題に戻って、、、 先日、コルクの在庫を補充しようと思い、 40年以上お世話になっているコルク屋さん(東亜コルクではありません)に連絡をいたしました。 いつもと変わらない元気な声! 日本中の楽器メーカーがこの方のお世話になっているといっても過言ではないのですが、 私たちのような小さな工房にも良いモノを分けていただいています。 何でも、今年はコルクの入荷状況が悪かったようですが、 そこはコルク界の重鎮だけあって、少ないながらも良質なコルクを入荷しているそうです。 天候不順とかではなく、現地で働いている方たちの問題らしく、 じきに解決するから大丈夫だよ、との事でした。 … Continue reading

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夏、終わりました・・・

すっかり初秋を通り越して、深秋になってしまいましたね。。。 9月24日、久しぶりに初台オペラシティへ行ってきました。 コンサートシリーズ「歌物語り」と題された演奏会。 スペインからギタリストを招き、 J.S.バッハを軸に、出演者の母国スペイン、ベネズエラ、日本の音楽と言葉。 奏者はギター、ソプラノ歌手、チェンバロ、フルート、11弦ギター、朗読と、 とても濃い内容のプログラムです。 フルートは、遠藤尚子さん。 今回は、サクライのコムプライト製フルートでの演奏です。 J.S.バッハのアヴェ・マリアから始まり、 カタルーニャ民謡の鳥の歌と聖母の御子が最後の曲でした。 後半の朗読で語られた、パブロ・カザルスの有名な言葉が胸に響きます。 1971年10月24日、ニューヨーク国連本部での演説。 「私の生まれ故郷カタロニアの鳥は、ピース、ピース、ピース(平和)と鳴くのです」」 その後に演奏された「鳥の歌」は言葉に表せません。。。 核実験禁止運動にも参加していたカザルスが、今の日本を見てどう想うかなあ、、、 スペインから偉大な「芸術家」が多く輩出されていますが、なぜなのでしょう。 音楽家では、カザルス、イエペス。 画家では、ピカソ、ダリ、ミロ。 建築では、ガウディ。 作家では、ロルカ。 フラメンコでは、アントニオ・ガデス。 みんな後世に多大な影響を与えている人ばかりです。 やっぱり、ラテンの風土が良いのでしょうか。 演奏会の方は、2時間あっという間でした。 フルートの曲は、 ・J.S.バッハのソナタ ロ短調 BWV1030 ・初恋 (石川啄木/越谷達之助) ・からたちの花(北原白秋/山田耕筰) 遠藤さんの奏でる音色は、優しく温かいです。 すべてを受け入れてくれるような大きさを感じます。 良い音楽に触れ、また一つ刺激をいただきました。 桜井秀峰

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