サイトウキネンフェスティバル松本。

行ってきました、サイトウキネンフェスティバル松本
映像や録音では聴いていますが、初めての生鑑賞です。

一気に夏が終わったの?と感じさせられた21日。
寒気の中、片道4時間ちょっとのロングドライブ。
霧でまったく見えなかった富士山の裾野をひた走り、
朝のドラマ「おひさま」の舞台でもある松本市へ到着。

鑑賞する演目は、
ベーラ・バルトーク作曲
○バレエ「中国の不思議な役人」指揮:沼尻竜典
○オペラ「青ひげ公の城」指揮:小澤征爾

出演:
青ひげ公:マティアス・ゲルネ(青ひげ公の城)
ユディット:エレーナ・ツィトコーワ(青ひげ公の城)
Noism1
井関佐和子、宮河愛一郎、藤井泉、櫛田祥光、中川賢、青木枝美、
真下恵、藤澤拓也、計見葵、宮原由紀夫、亀井彩加、角田レオナルド仁
Noism2

演奏はもちろん、
サイトウキネンオーケストラ(SKO)。
そして!
演出/振付は、
金森穣!!!
空間:田根剛、 リナ・ゴットメ、ダン・ドレル(DGT)
衣裳:中嶋佑一(artburt)
照明:伊藤雅一(株式会社 流)/ 金森穣

今回で20回目となるサイトウキネンフェスティバル松本は、
病気療養されていた総監督小澤征爾さんの完全復活という事もあり、
観客のみならず、全世界が注目しています。

私たち家族も特別な想いを抱いて松本へ赴きました。
私の妻は結婚する前までダンスを生業としていたのですが、
今回出演するNoismには2004年の創立メンバーとして参加しており、
演出の金森穣さんとマエストロ小澤征爾さんの競演を見ないわけにはいきません。

そして、私のもう一つの楽しみ。
SKOのフルート奏者、セバスチャン・ジャコー氏(Sebastian Jacot)。
知った仲ではありませんが、
私たちの木管製フルートを吹く奏者から、
「木管製を吹く若い奏者がいるよ!」と教えていただき、
youtubeを見てみると、びっくりしました。
とにかくスケールの大きな演奏に、衝撃を受けました。
私たちのフルートではありませんが、
木管製フルートを中心に演奏しているスタイルのようで、
私たちにとって「木管製はここまでの表現力がある!」って事を具現化している奏者です。
録画でしか彼の音を聴いていなかったので、
ぜひ彼の生音を聴いてみたいという想いもあっての鑑賞です。

さらに「まつもと市民芸術館」には、
私が演劇活動を始めた頃から大変お世話になっていた、
シアターガイドの元編集長今井浩一さんがいらっしゃいます。
今はまつもと市民芸術館の営業宣伝リーダーとして、
まつもと発の世界的作品をより多く創り出す為に奔走されています。

開演15分前に到着すると、
今日この日を待ちわびた多くの人がどっさり。
受付付近で今井さんと久しぶりの再会。
初日が開くまでは寝ずの激務だったはず。。。
それでも、変わらない笑顔で迎えていただきました。

子どもを託児サービスで預かってもらい、
結婚して以来、初めて夫婦2人での鑑賞。

暗転。

いきなりのマエストロ登場にざわつく会場。
東日本大震災を想い、マエストロ指揮でG線上のアリアを捧げ、
黙祷。

開演。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。

あっと言う間の2時間。。。

私の感想など必要のない、本当に素晴らしい作品。

初めて金森さんの作品を鑑賞させていただきましたが、
これはもう、なんというか、「世界」と戦っています。
細部から世界、そしてまた細部。
この振れ幅の広さは圧倒的です。
小澤征爾総監督との「対峙」にも、真摯に向き合っていて、
最後の最後まで、ちゃんと地を掴んで足で立っていました。
なんだかすいません、わかりずらい喩えばかりで。。。

今回は舞台とオーケストラと両方に目を向けて集中するという、
私の中で初めての経験でした。
そして、ジャコー氏の演奏は、期待どおりでした。
音色は際立っていながら、木管製だからか嫌味ではなく、
他の木管セクションとも溶け合っていました。
そして、ソロになるとすべてを受けとめる集中力と存在感。
久しぶりにゾクっとしました。
日本ではあまり知られていないと思いますが、
今後がとても楽しみな奏者の1人に間違いはないでしょう。

SKO全体もバレエとオペラの伴奏という意識ではなく、
バレエの動きを感じ、時に引っ張ったり寄り添ったり。
なかでもダンサー井関さんとクラリネット奏者ハジンズさんのソロ共演は絶品。
お互い見えてないはずなのに、見えてるのか!くらい阿吽の呼吸。

そして、マエストロ小澤征爾さん。
会場全部の視線から何から全てを集めても揺ぎ無い存在感。

これはこれは、本当にもう、どうしましょう、
ってくらいスゴイ公演でした。

終演後、今井さんとしばし歓談。
聞けばストラヴィンスキーの「兵士の物語」も素晴らしいと。
芸術監督串田和美さんと音楽監督小澤征爾さんの初競演。
うぐ・・・、観たい。。。
なんと、同じホールでやるので、毎日仕込みバラシをするのだとか。
やることがケタ違いだ。。。

妻が金森さんと井関さんにご挨拶に行こう、
というか内緒で来ているのでビックリさせに行こうと楽屋を訪ねると、
「ええ!!なんでいるの!?」
サプライズ好きな妻の期待通り、びっくりしてくれた金森さんと井関さん。
妻の中では特別なお二人なので、
今日観に来れた事を本当に楽しんでいるようでした。

オーケストラの皆さんは早々に帰ったようで、
楽屋は空っぽ。
ジャコー氏との対面は、また次回の楽しみとなりました。

雨も弱まり、元来た道をとんぼ帰り。
松本市には3時間滞在しただけですが、
とてつもない濃密な時間を体験しました。

サイトウキネンフェスティバル松本
ぜひ一度ご体験を。

今井さん、どうもありがとうございました。

桜井秀峰

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