のストーリー

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「木管フルートが気になる!」と思っていた私は、丁度タイミングよく、知人が使用しているサクライ製の黒檀フルートを間近で見ることができました。どんな音がするのか?吹奏感はどうか?そもそも、サクライフルートをよく知らない、、、。 早速工房を紹介していただき、何かに導かれるように埼玉まで足を運んでいました。そこで、木管フルート、総銀製、洋銀製、プラチナ製などのフルートを、次々と試奏させていただきました。サクライフルートをよく知らなかった私は、ブレスコントロールのし易さに感動しました。それから、見た目の美しさ。私が一番気になった【コムプライト】は、木目がはっきりと出ていて、金色のキィがセッティングされています。いくら眺めていても飽きないです。

私の音を聴いていただいた幸一郎先生の「【コムプライト】が一番向いているのではないか」という助言に、すっかりこの子を連れて帰りたいという気になってしましました。 ・・・そして、工房へ出かけたその日に、【コムプライト製フルート】を注文して帰ったのです。本当は連れて帰りたかったのですが。。。 木管フルートは、「私と一緒に成長していくもの」だと思っています。 幸一郎先生には、「木管フルートは鳴らせるようになるまで10年はかかる」と言われました。吹けば吹くほど音の鳴りがよくなっていくのが、私にもわかります。さらに、一緒に演奏する仲間たちからも同じような感想を言われます。逆に、あまり吹いていなければ、うまく反応してくれません。すごく正直な楽器で驚きます。 木管フルートの取り扱いの難しさを心配していましたが、割れの心配もすることなく、普段は吹奏楽の演奏で使用しています。屋外を含め過酷な条件の下で演奏することが多いのですが、【コムプライト製フルート】は屋根のある場所専用にしています。

ホールよりかは少しだけ過酷な状況もありますが、全く問題なく遠くまで響きが通っているのを感じながら、吹きながらどんどん楽しくなってきます。 これから、まだまだゆっくり成長を見届けたいと思っています。

 

「必然の出会い」

桜井秀峰

【コムプライト製フルート】は様々な可能性を探る為に試作した作品でした。「枯渇しつつある木材に代わる素材」として良材か?もっとも大事な音楽的な可能性=音は良いのか?等々、探究するために本当はもう少し手元に置いておくつもりだったのですが、「私はこのコムプライトと一緒じゃないと、家に帰れません!」くらいの熱意に心を動かされ、「このコムプライトを宜しくお願いします」という気持ちでお渡しする事にいたしました。どうしても木管フルートが吹いてみたいという想い、普段の演奏状況や木管フルートの取り扱いへの不安、などを伺うと【コムプライト製フルート】に出会うべくして出会ったのだと。1日違えば出会う事がなかったかもしれません。 毎年の定期点検にはわざわざお越しいただいて、成長した【コムプライトの音】を聴かせて頂いています。

多少の状況にも問題なく耐えているのを見ると、「コムプライトで本当に良かった」と心から想います。

【コムプライト製フルート】はニッタクス社製の【積層強化木】で出来ています。簡単に言うと、1mmの薄い板を積み重ねて樹脂を含浸させたいわゆる【合板=べニア】です。見た目は、本物の木と見間違うくらいです。年輪のように濃い色と薄い色が積み重なっているのですが、これがとても大事なポイント。本物の木と同じように堅い層(濃い色)と柔らかい層(薄い色)になっています。音の伝わる速度が各層によって違うので、音に豊かさが出ます。堅い層の方が柔らかい層よりも少しだけ速いです。今もっとも可能性を感じる素材の一つです。当初は、ブラックとNK色の2色のみでしたが、現在はブラック色・NK色・ブラウン色・グレー色・レッド色・ホワイト色の全6色となっております。

ニッタクス社の詳細情報は以下をご参照ください。

株式会社ニッタクス 千葉工場 コムプライト

 

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